今から約18、9年前の平成12年4月1日付けで「地方分権の推進を図るための関係法律の整備等に関する法律」(平成11年法律第87号)が施行され、地方分権推進計画に沿って機関委任事務を廃止し、法定受託事務とされました。

自主的運営に委ねる法定受託事務

建設業の許可や宅建業の免許など多くの許認可に係る事務が都道府県の法定受託事務となりました。

それらの事務やその考え方(解釈、運用)は、それぞれの法令の範囲内で都道府県の自主的な運用に委ねられることになりました。

しかしこれでは、国の解釈・運用の考え方が国民の方からみて極めて分かりにくくなると考えられため、

例えば、宅建業の免許の場合は、都道府県知事を含め、国民一般に国の考え方を理解していただくことを目的として、大臣免許の付与など、国自身が法の解釈・運用を行う際の基準として「宅地建物取引業法の解釈・運用の考え方について」を作成し、都道府県に参考通知し、平成13年1月から大臣免許に係る事務等を行うこととなった各地方整備局に通達しています(平成13年1月6日付け国土交通省総合政策局不動産業課長から各地方支分部局主管部長あて通達)。

建設業の経営業務の管理責任者の経験とは

私の事務所でも平成18年(2006年)にこんなことがありました。

建設業許可の要件の一つである経営業務の管理責任者としての経験のとらえ方です。

建設業法第7条(許可の基準)第1号イは、法人である場合においてはその役員のうち常勤であるものの1人が、許可を受けようとする建設業に関し5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する者であること、となっています。

経営業務の管理責任者としての経験とは、建設業を行っていた会社の取締役(役員)、支店長、営業所長などの経験をいいます。

まず、5年以上経営業務の管理責任者としての経験を有する人が、申請会社の常勤の役員でなければならないということです。

これは当然ということで問題ではないのです。

何が問題だったかといいますと、5年以上の経営業務の管理責任者としての経験の有無を判断するためのものだったのです。

経験ということは過去のことです。

この人の場合は、前の会社の非常勤の取締役であったわけです。

ここで問題となったのは、非常勤の取締役経験が経営業務の管理責任者としての経験になるのかならないのかということでした。

運用が異なる経営業務の管理責任者の経験

国土交通省、都道府県のうち8ヵ所に問い合わせをしたところ、非常勤の期間を認めているところと、一切非常勤の期間を認めないところとがありました。

ある都道府県の回答は、

・非常勤を認めないところでは、「非常勤役員では経営に参画したとはいえない、建設業法で規定がないため、窓口担当課内で運用上取り扱っている」、「常勤性がないと経営に携わった役員として認めていない」、

・また、認めているところでは、「役員期間は登記簿謄本のみで確認するため常勤・非常勤を問わない」、「経営に携わるのは非常勤役員でも可能である」などでした。

これらは、平成18年(2006年)3月時点での回答ですので、その後変わっているところもあるかもしれません。

他の役所では認めているという抗弁は通じない

他の都道府県では、非常勤を認めているところもあると反論しても、それぞれの役所(許可行政庁)での判断である、と担当者はおっしゃっていました。

なるほど、法定受託事務となったので、各都道府県で自主的な運用をしているのだなということをあらためて実感しました。

申請会社の方は、行政の公平性が損なわれている、と怒り心頭でした。

今日の行政法規の運用の実態

これが、今の日本の行政法規の運用の実態のようです。

しかし、国会で定められた法律です。

日本国中どこであろうと同じ解釈、運用をされていないと本当に行政の公平性が損なわれますし、厳しい運用をされている地域の方は、許可を受けられるという権利を侵害されていることになるのではないでしょうか。

権利を侵害する行政判断には、法律による行政が必要なのではないでしょうか。

権利を侵害する行政判断をしているのに、窓口担当課の運用であるという考え方でよいのでしょうか。疑問を感じるところです。

異なる取り扱いをする法律の根拠を明確に!

都道府県や市町村単位で異なる取扱をすべきであると思われる場合には、根拠となる法律において、地方公共団体の条例や規則で定めるなどと法定すべきではないでしょうか。

実際に風営法などはそのようになっていると思います。

実面での対応は、役所に確認すること

実務では、そうもいっていられませんので、許認可の申請をする側の皆さんは、同じ許認可であっても、役所(許可行政庁)が異なる場合には、面倒でも、直接その役所に確認をした方がよいと思っています。

建設業許可を例にしますと、許可行政庁は、国(各地の地方整備局)、それぞれの都道府県です。

産業廃棄物関係では、一つの会社で、複数の都道府県や政令市などの許認可を受けることが多々あります。

私も行政書士ですが、疑問点があるときは、許可行政庁に確認するようにしています。

本日は以上です。すべて私見です。誤りなどがありましたらご指摘ください。

(平成23年(2011年)4月26日に私が書いたものです。内容的には今でも通じるものですので、少し加筆、修正を加えて、このブログで再度投稿します。)