事業年度と決算、そして税金の申告と納税

事業を起こしたときに、皆さんは日々の売上や仕入、そして経費などの帳簿付け(記帳)はどうしていますか?

事業を始めたばかりで、営業や宣伝広告で忙しく、人手もいないので、帳簿付けなんて二の次だ、と思っていませんか?

請求書や領収書を保管しているだけ、という方もいるでしょう。

最低限、こちらからお客様に出す請求書の控え、仕入先からもらう請求書、かかった経費の領収書を、とりあえず、決められた場所や箱に、突っ込んでおくことは、やっておいてください。さらに経費の領収書には何を買ったのか、何に使ったのか、などの明細も記入しておくことをおすすめします。帳簿付けのときにどの経費の費目にするのか判断する材料になりますので。

売り上げの拡大も大変なのですが、皆さんが苦手とする帳簿付けは、1年に一回は必ずやってきます。

会社や個人事業には、1年に一回の帳簿上の締め切りがあります。事業年度といい、その事業年度の最後の日のことを決算期というようです。

会社では会社を設立したときに定款で決めた1年間のくくり、例えば、4月1日から翌年3月31日までの1年間です。個人事業では、1月1日から12月31日までの1年間です。

これは、税金の申告納税のためにも必要なものとなっています。つまり、その1年間のくくりで財産状況や損益状況を取りまとめるのです。

これを決算といいます。この1年間の利益によって、会社では法人税・法人事業税・法人府民税(大阪府の場合)・法人市民税といった税金の申告と納税を行うのです。

個人事業では所得税の申告と納税を行います。
なお、個人事業でも個人の事業税・個人の市民税や府民税(大阪府の場合)も納税することになりますが、所得税の申告をすることによって、後々、それぞれ大阪府や市から納税通知書が来るので、それからの納税ということになるようです。

決算をするために必要な複式簿記と財産、損益の知識

会社の帳簿付けは複式簿記という方法で行ってください。個人事業でも、複式簿記という方法で帳簿付けをすることをお勧めします。

しかし、日々の営業などで忙しい社長さんがご自身で帳簿付けをする必要はないと思います。

帳簿付けを事業としている業者さんである記帳代行会社や記帳代行を業務としている行政書士もいます。顧問として契約している税理士の先生にお願いすることもできると思います。

だからといって、社長さんが何も知らないということはあまり感心しませんので、複式簿記の簡単な知識とそれに基づいた決算書の知識ぐらいはお持ちいただいた方がよいと思います。

単式簿記と複式簿記

現金の収支に基づいた帳簿付け、例えば、家計簿がその典型ですが、これを単式簿記といいます。
複式簿記は、仕訳(しわけ)という作業を通じて財産状況と損益状況を同時に帳簿付けしていくものです。

単式簿記は、収入(売上)がいくらあった、経費の支出がいくらあった、という現金ベースでの売上や支出の把握はできますが、いつの事業年度の売上なのか、いつの事業年度の支出なのか、の把握がしづらくなります。

単式簿記は、財産状況の帳簿付けをしないので、たとえば、掛け売りした(売掛金といいます)、仕入を掛けで買った(買掛金といいます)、事業用の自動車を買った(固定資産の取得と減価償却)、店舗の内装工事を行った(固定資産の取得と減価償却)、銀行から貸し付けを受けた(マイナスの財産で負債といいます)、という場合ですが、これらの財産状況は把握しづらいものとなります。

複式簿記で帳簿付けをしますと、財産状況と損益状況(利益か損失か)を把握することが容易になります。

また、複式簿記で帳簿付けをすると、いつの事業年度の売上なのか、いつの事業年度の支出なのか、の把握がしやすくなります。

例えば、その売り上げは現金で入金になったときの事業年度ではなく、掛け売りのときは請求書を相手方に出したときに売上高の計上となります。《売掛金という財産が増加し売上高という益金が増加したという仕訳。売上高を計上した事業年度の売り上げとなる》

仕入の掛買いのときは相手方から請求書をもらったときに仕入高の計上となります。《仕入高という損金が増加し買掛金というマイナスの財産の負債が増加したという仕訳。仕入高を計上した事業年度の仕入れとなる》

経費の掛け払いのときも相手方から請求書をもらっときに経費の計上となります。《経費という損金が増加し未払金(or未払費用)というマイナスの財産の負債が増加したという仕訳。経費を計上した事業年度の経費となる》

決算期現在の残高が財産状況を表す

まだ現金としてもらっていないのに、売掛金という資産(財産の一つ)に計上し、売上高という損益(益金=利益)の計上になるのです。事業年度の終わりの決算期現在の売掛金の残高が決算書のうちの財産の一つである資産として計上されてくるのです。

逆に、仕入の掛買いも、現金として支払っていないのに、買掛金(マイナスの財産の負債)に計上し、仕入高という損益(損金)の計上になるのです。経費の掛買いも未払金(or未払費用)(マイナスの財産の負債)に計上し、それぞれの経費の費目(例えば消耗品費)という損益(損金)の計上になるのです。

事業年度の終わりの決算期現在の買掛金や未払金(or未払費用)の残高が決算書のうちの財産の一つである負債として計上されてくるのです。

今回のまとめ

財産状況
財産→資産→売掛金 : 財産→負債→買掛金・財産→負債→未払金(or未払費用)
損益状況
損益→損金→仕入高・損益→損金→それぞれの経費の費目 : 損益→益金→売上高
と帳簿付けされることになります。

なお、法人税・所得税については管轄の税務署、法人・個人の都道府県民税・事業税については都道府県の税務担当課、法人・個人の市区町村民税については市区町村役場の税務担当課、または顧問の税理士さん、最寄りの税理士さん(有料?)にご相談ください。

自由に思いつくままに、できるだけ平易に書いているつもりですので、学問的・理論的に不正確な表現があると思いますが、ご了承ください。

今回はここまでにします。この続きは次回に譲ります。またお会いしましょう。